株式投資に関する本や動画を見ていると、様々なところで、こんな意見を目にします。
全世界や米国の株式指数に連動した投資(インデックス投資)は、長期的に見るとリターンがプラスになるからおすすめ!
「インデックス投資は長期的に見るとリターンがプラスになる」とよく聞きますよね。
実際に、アメリカの代表的な株価指数である「S&P500」などは、(定期的に暴落を挟みつつも)、20年以上の長い期間で見ると、堅調に右肩上がりを続けています。
そのような株価指数に連動するインデックス型の投資信託などを買えば、長期的にリターンがプラスになるのは当然のことのように感じられます。
しかし、実際にはほとんどの人が株式投資で資産形成できていないのが現状です。
「インデックス投資は長期的に見るとリターンはプラスになる」と言われていながら、投資家全員がお金持ちになっていないのは一体なぜでしょうか。
長期投資の失敗例とは
金融業界の伝説的なトレーダーであるナシーム・ニコラス・タレブは、著書『身銭を切れ』で次のような表現をしています。
市場の長期的なリターンに基づいて投資の提案をする金融分野の教授や第一人者、地方銀行が書いた資料を読むときは、よくよく注意しないといけない。百万歩譲って、彼らの予測が正しいとしても(実際には正しくないのだが)、資金が無限にあり、永遠にケツを割らない人でもなければ、市場全体と同水準のリターンを得ることができないのだ。
『身銭を切れ』(ダイヤモンド社)388ページ
長期投資を始めた人の多くがお金を増やせていない理由は、長い人生の中で起こる様々なライフイベントや予期せぬ出来事によって、「途中で投資を辞めてしまう」人がいるからです。
- 株価が暴落し、怖くなって投げ売りした
- 子育てのため、投資に回せる資金が無い
- ケガで入院することになり、投資どころではない
- 投資は自分に合わないと感じてきた
- インデックス投資より個別株に全振りした方が、大きく儲かるんじゃないか?
「インデックス投資は長期的に見るとリターンがプラスになる」という話には、前提条件として「投資を辞めなければ、」という枕詞が隠れているのです。
考えてみれば当たり前のことですが、この「途中で辞めるリスク」を軽視していることが実際には多いように感じます。
成功するには”まず”生き残るべし
投資でもビジネスでも、途中で投げ出してしまっては成功する確率は”ゼロ”です。
何かを成し遂げるためには、「まずは生き残ること」が大事になってきます。
タレブは次のような教訓を述べています。
川の深さが平均で4フィートなら渡ってはいけない。
『身銭を切れ』(ダイヤモンド社)388ページ
水深が平均で4フィート(≒1.2m)の川と言っても、水深が浅くて膝ぐらいの場所もあれば、深くて足が底に付かない場所もあるでしょう。
川を渡った先に財宝が眠っているとしても、途中で溺れ死んでは意味がありませんよね。
- 毎月の積立額は、今後も継続可能な額ですか?
- 突然の出費をカバーできる、十分な現金を確保していますか?
- 市場の大暴落に耐えうる、分散されたポートフォリオになっていますか?
株式投資を長く続けていく上では、日常生活で起こりうる様々なリスクや市場の大暴落に備えて、「生活防衛資金」を蓄えておくことが大事だと感じます。
1日でも早く資産を増やしたいから、貯金はせずに全額投資に回しています…。
なんか今はAIが熱いって聞くから、米国のIT企業群に集中投資しています…。
こんな人は、今後の日常生活で起こり得るあらゆるリスクをもう一度想定し、投資内容を見直してみてもいいかもしれません。
長く、ゆっくり、投資を続けていきましょう。
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