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『INPEX』の株式を再取得しました【投資理由と今後の見通し】

日本の石油・ガス開発大手『INPEX』の株式を再取得しました。

目次

『INPEX』について

INPEXは日本最大級のエネルギー開発企業です。

国内外に数多くの石油・天然ガス権益を有し、日本の年間エネルギー消費量の約1割に相当する石油・天然ガスを、世界各国で日々生産しています。

主要顧客としては、例えば大手電力会社、都市ガス会社などが挙げられ、私たちの生活インフラを支えています。

売上高構成比率
原油76%
液化天然ガス23%
その他1%
INPEXの売上高構成比率(2022年度12月期)
生産地域比率
中東・アフリカ43%
アジア・オセアニア40%
ヨーロッパ、NIS諸国12%
その他5%
INPEXの生産地域比率(2022年度12月期)

主要製品は原油、液化天然ガスの2つです。

生産地域は、中東・アフリカ、アジア・オセアニア、ヨーロッパ・NIS諸国と、全世界各国に生産拠点を有しています。

2024年12月期の売上高は2.2兆円、純利益は4273億円です。直近数年は3000~4000億円の利益を安定して叩き出しており、人々の生活に必須なエネルギーを供給する企業として、稼ぐ力が強い企業と言えます。

『INPEX』への投資理由

INPEXの株価推移(Google Financeより抜粋)

2024年末にINPEX株式を一度売却していましたが、この度、再度投資を行いました。

株式投資を決めた理由について、記録を残しておきたいと思います。(あくまでも私個人のものさしに基づく評価ですので、投資判断はご自身の責任でお願いします)

投資判断する上では、バリュー投資家の元祖として知られるベンジャミン・グレアムの著書『賢明なる投資家』などを参考にしています。特に、以下の8項目に注目して、将来性・安定性などを検討しています。

項目評価
企業規模
財務状況
収益の安定性△~〇
配当歴
収益の伸び
割安度合い(PER)
割安度合い(PBR)
評価項目・結果の概要(2024年12月期時点の評価)

企業規模

目安:年間売上高1000億円以上

「企業の体力」という観点から、企業規模はある程度大きい方が好ましいと考えています。INPEXの直近売上高は2.2兆円であり、企業規模は「十分に大きい」と判断されます。

財務状況

目安:流動比率200%以上、自己資本比率50%以上

財務の健全性は、「流動比率(=流動資産÷流動負債)」を目安にしています。INPEXの流動比率は約160%であり、手元資金の流れは可もなく不可もなくといったところ。自己資本比率は65%となっており、総合的に見て財務は「健全」と判断されます。

収益の安定性

目安:過去10年間、赤字の年が無い

INPEXは2020.12月期(コロナ禍)に赤字となっています。赤字転落の理由としては、「新型コロナの影響で世界経済が減速」⇒「石油・天然ガスの価格が大幅下落」⇒「下落した石油価格ベースで資産を再評価し、特別損失を計上」と説明されています。

最近は米国の関税発動により、世界経済の減速が再び危惧されています。石油・天然ガスの価格動向には常に気を配る必要がありますね。

配当歴

目安:過去10年間、無配当の年が無い

INPEXは過去10年間、継続して配当を出しています。直近は4年連続増配中で、来期も増配予想です。現時点での予想配当利回りは4.9%となっており、高配当銘柄と言えます。

収益の伸び

目安:過去10年間において、最初の3年間と最後の3年間の平均を比べて、一株当たり利益(EPS)が1.3倍以上増加

INPEXはこの10年間で一株当たり利益(EPS)が約14倍程度に爆増しています。このEPSの増加には、

  1. 生産量増加(イクシスLNG稼働)
  2. エネルギー価格上昇(インフレ)
  3. 為替影響(円安)

が全て追い風となっています。これまでの収益の伸びは抜群に良好でした。ただし、直近はインフレ率低下、円高進行などが相まって、収益の伸びは「やや停滞」しそうな見通しです。

割安度合い(PER)

目安:PERが15倍以下(※ 過去3年間の一株当たり利益(EPS)平均値を使って算出した値とする)

INPEXは、直近3年間の平均EPSで算出した株価収益率(PER)が約5.5倍であり、株価は「割安」と考えられます。今期の業績予想から見た予想PERも6.6倍であり、かなり「割安」な部類と考えられます。

割安度合い(PBR)

目安:PBRが1倍以下(※ PBR1倍以上の場合、PER×PBRが22.5以下)

INPEXの株価純資産倍率(PBR)は現時点で0.45倍と非常に低く、こちらの指標も「割安」を表してます。

近年は東京証券取引所が上場企業に対して「PBR1倍割れ改善」を要請している点も注目です。INPEXの株価に対しても、PBR1倍に向けて上昇圧力が働く可能性があります。

その他、注目点

あまりに割安な株価

予想PER=6.6倍、PBR=0.45倍、予想配当利回り4.9%と驚くほど割安に放置されている理由を想像してみます。

おそらく株式市場は、米国の関税による「世界経済の減速」を危惧しているのだと思います。世界経済が減速すると、「エネルギー価格が下落」し、石油・天然ガスを販売するINPEXの「利益が減少」します。

実際に指標の一つである「ブレント石油先物価格」を見てみると、関税発動前後で75ドル付近→65ドル付近まで下落しているのが確認できます。

では、INPEXの利益は実際にどのくらい減ると予想されるのでしょうか。INPEXの公式期初予想は為替153円、ブレント価格75ドルで純利益3300億円の予想でした。

2024年12月期決算説明資料の「為替・油価変動影響」を元に、現時点の為替145ドル、ブレント価格65ドルが続くと仮定して計算すると、

  • 為替153ドル→145ドル:純利益-192億円
  • 油価75ドル→65ドル:純利益-540億円

純利益は3300億円→2568億円への下方修正、PER=8.5倍と計算されます。

たとえ為替・油価に向かい風が吹いたとしても、INPEXの業績は底固く、割安な状況に変わりはないと私は考えています。

手厚い株主還元

INPEXは新中計(2025~2027)の中で、総還元性向50%以上を掲げています。

業績が期初予想通り3300億円で着地すれば、配当・自社株買いを合わせた総還元額は1650億円以上、総還元利回りは7.5%以上となります。

先ほどのシミュレーションのように、仮に為替・油価が下振れして純利益2500億円程度へ下方修正されたとしても、総還元額1250億円、総還元利回りは5.7%となります。

予想配当利回りは4.9%ですから、自社株買いが十分期待できるのではないでしょうか。

まとめ

INPEXは日本最大の石油・天然ガス開発企業であり、世界中の人々の生活を支えている企業です。

現在、世界は関税による世界経済の減速が危惧されており、INPEXに対しても、エネルギー価格下落による業績の下押し圧力が働くことと想定されます。

しかしながら、

  • データセンター増設などにより電力需要は今後も増えると見込まれており、天然ガスの権益を持つINPEXの将来性が見込まれる(=今後も長きに渡ってビジネスが継続する)
  • 現時点で株価指標はPER=6.6倍、PBR=0.45倍とかなり割安(=為替・油価に向かい風が吹いたと仮定しても以前割安:安全域の確保)
  • 総還元性向50%を謳っており、現時点で4.9%の高配当に加えて、自社株買いが期待できる

と好材料が多く、株式投資する判断をしました。次回決算では自社株買いの発表も期待しながら待ちたいと思います。

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