米国一強の時代が終わり、次は『アジアの時代』が来ると肌で感じます。それも、中国を中心とし、日本、韓国、台湾などを含めた『東アジア』の時代が・・・。
私は現在、日本のメーカーで研究職として働いています。比較的大きな、いわゆる大企業に分類される会社に勤めており、海外支部の現地メンバーとも協力してプロジェクトを進めています。
外国人の仕事ぶりを肌で感じる機会が多くありますが、面白いくらいに”お国柄”がはっきりしているので、各国のビジネスに対する姿勢から、将来展望について考えてみます。
各国のビジネスに対する姿勢と将来展望
アメリカ
アメリカは、ビジネスにおいて「大風呂敷を広げる人が多い」と感じます。
例えば、私が勤める会社の現地メンバー(アメリカ人)は、「数千トンの数量を売ります!」と期初に宣言して、実際は「数tも売れない」なんてことが毎年のように起こります。
数量が未達なこと自体は、別に不思議なことではありません。大した見込み(根拠)が無い中でも堂々と期初に宣言してスタートを切る「思い切りの良さ」は、日本人には中々見られない才能です(「スケール感が違う」と言いましょうか…)。
企業の景気が良いうちは「何やってんだよ(笑)」で済みますが、いざ景気が悪くなってくると、”化けの皮”が剥がれてくる怖さをアメリカには感じています。
ヨーロッパ
ヨーロッパには、「ビジネスよりもプライベートを優先する文化が根付いている」と感じます。
例えば、私と同じチームの現地メンバー(ドイツ人)は、プロジェクトが大事な時期にも関わらず、1ヵ月の長期休暇(バカンス)に入って音信不通となりました。
ヨーロッパの多くの人々は、仕事は「生計を立てる手段」であって「人生の目的」ではないと捉えている人が多いです。いくら生産性が向上していると言っても、時間を厭わずがむしゃらに働く企業に勝てるほど、ビジネスは甘くはありません。
大航海時代のスペインやオランダ、産業革命期のイギリスなど、一時は世界の覇権を握っていたヨーロッパ各国ですが、経済の分野において、もう一度ヨーロッパが台頭してくる未来はなかなか描けません。
日本
日本人は仕事に対して、「”真面目”に取り組む人が多い」と感じます。
「より良くするために細部まで作り込む」、「プロジェクトを自分事のように捉えて進める」…。
日本人にとっては”当たり前”のことだと思われるかもしれませんが、海外から見ると「何かに取り憑かれているのではないか」と思われるくらい奇妙な事です。
私はこの仕事に対する姿勢が、「Made in Japan」への信頼を世界から勝ち取れた理由だと思います。爆発力こそありませんが、日本企業は今後も堅実に成長を続けられると思います。
中国
中国は間違いなく「次の台風の目」となり得る存在です。
昔は、「中国製」と言えば「品質は悪いけど安い」という印象でした。しかし今は、「品質はそこそこで、しかも安い」というレベルになっており、急速に技術力は向上しています。
私はメーカーで働いているため肌で感じますが、欧米・欧州企業の製品は(インフレや為替の影響も相まって)価格が非常に高く、とても買えたものではありません。欧米・欧州政府は、「中国政府の補助金による過剰生産だ!」と非難していますが、私は純粋に、中国が技術力でも追いつき、そして一部では追い越している結果だと考えます。
また、これまで”高品質”を売りにしていた日本企業の製品についても、中国製品にシェアを奪われている分野が多く存在します。
そう遠くない将来、「気が付けば中国企業の製品が世界を席巻していた」という日が、かなり高い確率で来る気がします。
インド(番外編)
インドは「次の大国になる」と言われて久しいですが、実際はどうでしょうか。
私は海外の国際展示会に参加した時に、インド系企業の方々と面談する機会が何度かありました。「インド人はなかなか粘り強いな…」というのが、まず私の第一印象でした。
インドの方々は面談1回目から、「いつ頃から、どの値段で、どのくらい売ってくれるの?」と根堀り葉掘り質問してきます。
「まずはご挨拶まで。」という日本人のスピード感覚とは全く違い、ビジネスに対する”貪欲さ”を肌で感じました。
今後インド企業が世界を席巻するほどに成長するかは現状分かりませんが、平均以上の成長率を続けても、全くおかしく無いとは思います。
まとめ
以上、ビジネスの現場で感じた各国の”お国柄”から、各国の将来展望を考えてみました。
アメリカは「大風呂敷を広げる傾向」があり、期待以上の成長が出せなかった時に吊り上がった株価がどうなるか考えると、私は期待よりも恐怖を感じます。
ヨーロッパは「ビジネスよりもプライベートを優先する文化」が根付いており、経済の世界においては遥か昔に絶頂期を過ぎて、今は過去の貯金(過去の遺産=例えばブランド)で食っている状態と考えます。
中国は圧倒的な人的資本を持って、技術力を急速に伸ばしています。経済の世界においては間違いなく「次の台風の目」となり得る存在です。
日本・韓国・台湾などの東アジア各国も、「”真面目”に働く国民性」が貴重な財産であり、今後も堅実に成長していけると考えます。
インドについてはあまり情報が無いですが、「ビジネスに貪欲な人が多い」のは事実であり、大なり小なり成長はしていくと思います。
株式投資においては、私は以上のような理由も含めて、「先進国インデックス・ファンド」ではなく「新興国インデックス・ファンド」に投資資金を移しています。
私の肌感覚は果たして合っているのでしょうか…。将来の答え合わせを待ちたいと思います。
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