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【感想&解説】『人生の経営戦略』を読んで

『人生の経営戦略』読了。自分の人生設計に経営論を組み込むという、新しい視点が得られる本でした。

目次

『人生の経営戦略』簡単解説

『人生の経営戦略』は、「人生=プロジェクトと捉えて、そのプロジェクトリーダーとしてどう振る舞うべきか」を考える本です。

本書は次のような流れで展開されます。

  1. 3つの資本(人的資本・社会資本・金融資本)が形成されることで人生は豊かになる。
  2. 資本形成には順序があり、時間資本→人的資本→社会資本→金融資本の順で形成される。
  3. 人生という長期プロジェクトには4つのステージ(導入期→成長期→成熟期→衰退期)があることを意識する。

著者は、コンサルタントとして活躍された後、現在は執筆活動などに注力されている山口周さん。

「目指す将来像が漠然としている」、「キャリアについて考える指針を求めている方」にオススメの本です。

人生を豊かにする「3つの資本」

豊かな人生を送りたい!

私たち誰もがこう考えています。しかし、「豊かな人生」というのはあまりにも漠然としていて、一体どうすれば「豊かな人生」が送れるのか、よく分からない方も多いのではないでしょうか。

少なくとも、「不自由なく生活できる程度のお金(=金融資本)」が必要なのは理解できます。一方で、大金を手にした後に、自分の人生に失望して自殺する人がいるのも事実です。

我々人間は「社会性の生き物」です。仕事で「社会の役に立っている」という実感だったり、良好な関係の家族・友達がそばにいることで、幸福を感じることができます。

金融資本に加え、社会の一員として認められていること(=社会資本が必要であると言えるでしょう。

私たちは、将来社会に出てお金を稼ぐために、また、より良いポストを得て社会的地位を得るために、勉強をして知識・スキルの形成に努めています。

金融資本と社会資本に加えて、知識、スキル、経験(=人的資本が必要であるとも言えます。

3つの資本(人的資本・社会資本・金融資本)が形成されることで、人生は豊かになる。

資本形成には順序がある

「人生を豊かにする3つの資本」をよく見てみると、それぞれの資本が形成される過程には順序があることに気づきます。

私たちは最初、「無名の新人」として人生をスタートします。経験も知識もスキルもありませんが、膨大な「時間資本」だけは持っている状態です。

学生や若手の頃は、必死に勉強をして知識を蓄え、目の前の与えられた仕事に取り組んでスキルや経験を蓄えていきます。これらは”自己投資”の期間であり、時間資本→人的資本に変換するステージと言えるでしょう。

経験・知識・スキル(=人的資本)が分厚く形成されると、だんだんと実績が積み重なり、信用や評判が上がっていきます。”働き盛り”とも形容できる状態で、人的資本→社会資本に変換するステージと言えるでしょう。

実績・信用・評判(=社会資本)が積み重なると、組織の中で昇進していったり、給料の高い会社からオファーが来たりします。ここにきて、社会資本→金融資本へ変換するステージに入ったと言えるでしょう。

『人生の経営戦略』(ダイヤモンド社)55ページ 「図1-1 人生というプロジェクトの原理」抜粋

資本形成には順序があり、時間資本→人的資本→社会資本→金融資本の順で形成される。

人生における「4つのステージ」を意識する

人生を豊かにするには「3つの資本(人的資本、社会資本、金融資本)」が必要であり、「資本形成には順序がある」とすれば、自ずと、「人生の各ステージにおいて、意識を変えていく必要がある」と考えることができます。

筆者は、企業や製品の変遷を表す「ライフ・サイクル・カーブ」を人生設計に適用して、次のように表現しています。

導入期成長期成熟期衰退期
~20代30,40代50,60代70代~
時間資本

人的資本
人的資本

社会資本
金融資本
社会資本
金融資本
後継育成
サポート
『人生の経営戦略』(ダイヤモンド社)55ページ 「図2-2 人生の4つのステージ」から抜粋、追記

導入期は、製品を発売されて間もない段階です。まだ認知度を十分獲得できない上に、開発コストがかさみ、利益は出にくいステージです。人生で言えば、「時間資本→人的資本に変換するステージ」と捉えることができます。

成長期は、製品が市場で受け入れられ始めた段階です。市場で認知度が高まり、利益が出始めます。利益を再投資して、加速的に事業を拡大することもできます。人生で言えば、「人的資本→社会資本・金融資本に変換するステージ」と捉えることができるでしょう。

成熟期は、一定のシェアを獲得した段階です。安定した利益は確保できますが、成長の余地は少なくなっています。企業は他分野に参入するなどして、ポートフォリオを多角化していきます。人生で言えば、「人的資本や社会資本に厚みを持たせるステージ」と捉えることができるでしょう。

衰退期は、社会環境の変化などによって、既製品の売上が減少する段階です。企業は既製品の事業整理を行うと共に、新製品の開発に注力していきます。人生で言えば、「後継者の育成やサポートに力を入れるステージ」と捉えることができるでしょう。

人生と言う長期プロジェクトの全体像が明らかにあれば、「今、どこで、何をすべきか」を理解することができますね。

以上、

本記事では、『人生の経営戦略』について紹介しました。

人生設計に経営論を組み込んだ、非常に斬新な本と感じました。キャリアや将来についてゆっくり考えてみたい方にオススメの本です。興味を持った方はぜひ一読してみて下さい。

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