【感想＆解説】『DIE WITH ZERO』を読んで

『DIE WITH ZERO』読了。

「勤勉に働き貯蓄する」ことが神聖化される現代社会において、「お金を使う大切さ」を説く斬新な本でした。

『DIE WITH ZERO』簡単解説

『DIE WITH ZERO』は、「将来の為に貯蓄することが奨励される現代社会において、お金を積極的に使って幸福を追求することの大切さを説く、斬新な一冊」です。

著者のビル・パーキンスさんは、トレーダーとして成功した後、現在はヘッジファンド運営などに携わるアメリカの方です。

著者はトレーダーとして勤務していた際、「お金持ち」であっても「幸せではない」人達を多く見てきたと言います。仕事に忙殺されるのではなく、若い頃から幸福のためにお金を”使う”ことの大切さに気づき、本書の執筆に至ったそうです。

「将来のために貯蓄しているけど不安がある」、「”幸せ”になるためのお金の使い道を知りたい」という方におすすめの本です。

何のための「貯蓄」か？

最近は「新NISA」や「iDeCo」といった将来のための貯蓄が広く推奨されるようになりました。また、一時期は「老後2000万問題」が話題となり、老後に不安を感じて貯蓄し始めた方も多いのではないでしょうか。

皆こんなふうに夢見て、嫌な仕事も我慢しながら、今を必死に働きます。しかし、いざ定年を迎え暫く時間が経つと、体が急激に衰え、気力もあっという間に失われ…。有意義にお金を使えず死んでいく人がほとんどだそうです。

「バラ色の将来」を夢見て、「貴重な今」を犠牲にしていませんか？

筆者はこのように問いかけます。

「若い頃にしかできないこと」がある

私たちがなんとなく普段考えている以上に、年齢的な「若さ」は大変貴重なものだと筆者は協調します。

海外旅行を例に考えてみても、「長いフライト時間」、「異なる環境」といった”非日常”を楽しめる年齢には期限があります。定年を過ぎて暫くすると、あんなに行きたかった海外旅行がだんだんと億劫になってしまうからです。

体力・気力に満ち溢れていて、何事にも新鮮味を感じることのできる若い頃に集中してやりたいことをやる（＝後回ししない）。実はこれが、「幸せへの近道」なのです。

つまり、時間と金を最大限活かすためのカギは ”タイミング” にある。人生の充実度を高めるのは、 ”そのときどきに相応しい経験” なのだ。

『DIE WITH ZERO』（ダイヤモンド社）21ページ

ポイントは、「そのときどきに相応しい・・・」という箇所です。

体力の要る海外旅行は20～30代の時が最も楽しめますし、子供が生まれてその成長を目に焼き付けれるタイミングは30～40代に集中します。仕事や貯蓄を言い訳にして、「趣味」や「家庭」をないがしろにしては本末転倒です。

経験から価値を引き出しやすい年代に、貯蓄をおさえて金を多めに使う。

『DIE WITH ZERO』（ダイヤモンド社）167ページ

若い頃にやりたいことをやるメリットは他にもあります。

若い頃であればあるほど、その後の人生で思い出を振り返って、何度も喜びに浸ることができます。また、貴重な経験を持って過ごせる残りの人生の時間も長くなります。

思い出や経験は、『配当』となってその後の人生を豊かにしてくれることも覚えておくべきですね。

「タイムバケット」で”残り時間”を意識する

筆者は、「最適なタイミングで最適にお金を使う」を実践する方法として、「タイムバケット」という考え方を紹介しています。

1. 「やりたいことリスト」を作成する
2. それを「いつ」やるべきか、年代別に振り分ける

巷によくある「やりたいことリスト」と異なるのは、「いつ」それをやるべきか、視覚的に明確化される点です。例えば、

具体的な年代とセットで考えることで、お金を使うべきタイミングが明確化され、将来設計もし易くなります。過剰に将来を不安がる必要がなくなり、人生が身軽になります。

以上、『DIE WITH ZERO』の感想・解説でした。ぜひ皆さんも一度、自分の「タイムバスケット」作成してみてはいかがでしょうか。