『幸せになる勇気』読了。
人間関係、子育て、部下育成…。あらゆる場面に応用できる普遍的な内容が詰まった本でした。
『幸せになる勇気』簡単解説
『幸せになる勇気』は、「幸せとは何かを定義し、幸福感を感じるために必要なことを心理学の側面から探求した本」です。
本書は、「心理学者アドラーの哲学」に基づいて、幸せとは何か深堀りしています。
「幸せになるためには、他者を無条件に愛する”勇気”を出しましょう」との結論に向かって、ストーリーが展開されていきます。
- 人間関係に悩んでいる人
- 子供の教育について考えている人
- 部下との接し方に悩んでいる人
こんな方におすすめの本です。
幸せの定義とは?
本書ではまず、「幸せ」を語る上で「幸せの定義とは何か」からスタートします。
アドラーは幸せ(=幸福感)をこう定義しています。
私たちが幸せだと感じる瞬間を思い描いて下さい。
- 身近な人が笑顔で笑っている
- ボランティアで地域と関わっている
- 時間を忘れて友達とおしゃべりしている
これらの瞬間には全て「他者」が存在しています。人間は孤立状態では幸せを感じることができず、他者との関係性の中において、幸せを見出す生き物なのです。
「あなががいて、わたしがいる」、「わたしは社会に貢献している」。
この感覚をアドラーは「共同体感覚」と呼んで、幸福感の源泉を説明しています。
アドラーは言います。われわれはみな、「わたしは誰かの役に立っている」と思えたときにだけ、自らの価値を実感することができるのだと。
『幸せになる勇気』(ダイヤモンド社)237ページ
「共同体感覚」は「他者への関心」から始まる
「共同体感覚」を持つためには、まず、「他者への関心」が必要です。
他者と交友関係を持ち、共同体の中における自分の立ち位置や役割を認識することで、「わたしは共同体の一部である」と感じられます。
一方で、注意しなければいけないこともあると筆者は述べます。
共同体感覚を「他者からの承認」に頼ってしまうと、幸福感も相手次第ということになります。
相手が褒めてくれない、評価してくれない…。こんな状態では、いつまでたっても世の中は生きづらいものだと感じるでしょう。
自分の価値は自分自身で認めた上で「他者への関心」を広げることが、幸福感を感じる秘訣なのです。
「わたし」の価値を、他者に決めてもらうこと。それは依存です。一方、「わたし」の価値を、自らが決定すること。これを「自立」と呼びます。
『幸せになる勇気』(ダイヤモンド社)152ページ
無条件に愛せよ
共同体の中で生きていくためには、他者と協力することが不可欠です。
見ず知らずの大勢が手を取り合って生きていくためには、他者を”信頼”する必要があります。
ここでアドラーは、「信頼」と「信用」という言葉の意味を明確に区別します。
- 信用:信じるに足る理由 (担保) を持っている
- 信頼:信じるに足る理由 (担保) は持っていない
「信頼」とはつまり、「無条件の”愛”」です。
相手の素性が分からなかったり、見返りが見込めないとしても、まずこちらから信頼を示す。そうすることで、物語がスタートし、共同体における関係性が生まれます。
他者を無条件に愛することは「勇気」が要ります。
- 無視されたらどうしよう…。
- 相手に利用されてしまったらどうしよう…。
このような心配を理由に一歩を踏み出さなければ、自己中心的な生活からは抜け出せず、共同体感覚も得られません。
「私たち」の幸せを願って行動することで、結果として「私自身」が幸せになる。これを理解することが、幸せへの近道であると本書では結論づけられています。
われわれは他者を愛することによってのみ、自己中心性から解放されます、他者を愛することによってのみ、自立を成しえます。そして、他者を愛することによってのみ、共同体感覚にたどりつくのです。
『幸せになる勇気』(ダイヤモンド社)272ページ
以上、本記事では『幸せになる勇気』をご紹介しました。
「人間関係に悩んでいる人」のみならず、「子育て」や「部下育成」にも応用できるような普遍的な内容が詰まった本と思います。
興味を持った方はぜひ一読してみて下さい。
