今回は、過去の金融危機で金・銀・プラチナ価格がどのように変動したか、暴落・暴騰率を確認していきます。
金・銀・プラチナ価格は金融危機時にどう変動するか
「有事の金」と言われるように、これまで情勢不安が起こると、必ずと言っていいほど貴金属価格が暴騰してきました。
特に、アメリカで金融危機が起こったり、第三次世界大戦が現実味を帯びてくると、基軸通貨である米ドルの価値が揺らぎ始めます(≒ドル安)。すると、お金は安全な場所を求めて、原始的な通貨である貴金属に向かうのです。
金融危機が引き金となって情勢不安が起こる場合、貴金属価格は「一時的に」大きく下落することが知られています。金融市場の崩壊によって財務が悪化した政府や機関は、保有していた貴金属商品を投げ売りして現金化に走るためです。
金融危機が起こって貴金属価格が下落したタイミングは、投資家にとって「買いチャンス」になり得ます。過去に情勢不安が起こった際の金・銀・プラチナ価格推移について見てみましょう。
リーマン・ショック
商品 | 暴落率 | 暴落-底値 までの期間 |
---|---|---|
金 | -25% | 約2ヵ月 |
銀 | -45% | 約2ヵ月 |
プラチナ | -50% | 約2ヵ月 |
リーマン・ショックが起こる2008年9月の少し前から金・銀・プラチナ価格はゆっくりと下落に転じ、リーマン・ショック直後から大きく暴落を開始。約2ヵ月後に底値を付けています。
資産的価値の高い金は、暴落率が相対的に低く、値戻りも速いことが見て取れます。一方で、銀やプラチナは、暴落率が大きく、値戻りまでの期間もやや長い傾向。
銀・プラチナは工業用途でも広く用いられているため、経済見通しが悪化すると売り込まれやすい傾向にあるようです。
コロナ・ショック
商品 | 暴落率 | 暴落-底値 までの期間 |
---|---|---|
金 | - | - |
銀 | -30% | 約1ヵ月 |
プラチナ | -30% | 約1ヵ月 |
コロナ・ショックでも似た傾向が見られています。資産的価値が高い金はほとんど値下がりしていませんが、工業用途でも広く利用されている銀・プラチナは約1ヵ月かけて-30%と大きく値下がりしています。
逆に言えば、「パニック売りされやすい銀・プラチナは投資チャンスが多い」とも言えますね。
さいごに
今回は、過去の金融危機で金・銀・プラチナ価格がどのように変動したか、暴落・暴騰率を確認していきました。
金融危機が起こると安全資産として金・銀・プラチナに注目が集まりますが、金融危機が起こった直後には、貴金属価格は「一時的に」大きく下落していることが分かりました。
歴史を知っておくと、いざ金融危機が起こった時、慌てず適切な投資行動を取ることができます。現在は米国経済のソフト・ランディングが期待されていますが、楽観論が広がる程、ショックの大きさは莫大になります。
金融危機が起こった場合に備えて、しっかりと準備をしておきましょう。
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