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【株式投資】鉄鋼大手『日本製鉄』の将来性と投資判断

鉄鋼大手『日本製鉄』の株式を取得しました。

目次

『日本製鉄』について

日本製鉄は、粗鋼生産量で日本第1位、世界第4位の規模を誇るグローバル企業です。

鉄鋼といえば、自動車の車体、船の船体、ビル・住宅の骨格など「社会のインフラ」として私たちの社会を支えています。

日本製鉄は、つい数年前までは国内に余剰生産能力を抱えていたこともあり、利益水準が低く落ち込んでいました。しかし、ここ2~3年は構造改革が進み、収益力が劇的に改善しています。

年度売上高純利益
20135.5兆円2400億円
20145.6兆円2100億円
20154.9兆円1500億円
20164.6兆円1300億円
20175.7兆円1800億円
20186.2兆円2500億円
20195.9兆円-4300億円
20204.8兆円-320億円
20216.8兆円6400億円
20228.0兆円6900億円
2023(見込)9.0兆円4200億円
日本製鉄の売上高・純利益推移

収益力が改善した主な理由として、以下3点が挙げられています。

  1. 生産能力の合理化(固定費削減)
  2. 販売価格・契約の適正化(利益率改善)
  3. 海外の成長市場へ投資(事業利益増大)

理由1つ目は、需要縮小が続く国内の生産設備を休止し、「ランニングコストを大幅削減」したことです。国内の高炉を15基→10基に削減するなど、大幅な構造改革を実行しています。生産能力の合理化などによって、直近3年間で「固定費は2割改善」しています。

理由2つ目は、顧客の需要に応じて受注生産を行う「紐付契約」の案件に注力したことです。販売価格・契約の適正化が進み、市況の波に左右されにくい体制が構築されつつあります。直近3年間で「損益分岐点は4割改善」し、筋肉質な体制に移行しています。

理由の3つ目は、今後も大きな経済成長が見込まれ、かつ、自社技術の強みを生かせる「海外地域に積極的に進出」したことです。特に、人口増加が続くインドや東南アジア、アメリカに進出し、2014年対比で「海外事業利益は10倍」に成長しています。

日本製鉄は高機能な分野で特に技術的優位性を持っており、電気自動車のモーター材料として必要不可欠な「電磁鋼板」、強度が高く軽量化に寄与する「超ハイテン」といった、自社技術を生かせる分野に集中投資しています。

現在は、粗鋼生産能力1億トン、安定的な事業利益1兆円という「1億トン、1兆円ビジョン」の実現に向けて、成長投資を続けています。

『日本製鉄』の将来性と投資判断

日本製鉄の株価推移(Google Financeより抜粋)

株式投資を決めた理由について、記録を残しておきたいと思います。(あくまでも私個人のものさしに基づく評価ですので、投資判断はご自身の責任でお願いします)。

投資判断する上では、バリュー投資家の元祖として知られるベンジャミン・グレアムの著書『賢明なる投資家』などを参考にしています。特に、以下の8項目に注目して、将来性・安定性などを検討しています。

項目評価
企業規模
財務状況
収益の安定性
配当歴
収益の伸び
割安度合い(PER)
割安度合い(PBR)
評価項目(2022年12月期までのデータを参考)

企業規模

目安:年間売上高1000億円以上

「企業の体力」という観点から、企業規模はある程度大きい方が好ましいと考えています。日本製鉄の2022年度売上高は8兆円ほどであり、企業規模は「十分に大きい」と判断されます。

財務状況

目安:流動比率200%以上

財務の健全性は、「流動比率(=流動資産÷流動負債)」を目安にしています。日本製鉄の2022年度の流動比率は約190%であり、財務状況は「一般水準」といったところでしょうか。自己資本比率は約40%となっており、銀行などからの借り入れ比率はやや大きい状況です。

収益の安定性

目安:過去10年間、赤字の年が無い

日本製鉄は、設備休止等の構造改革に伴う減損損失などを理由として、2019年度および2020年度に赤字を計上しています。

2年連続赤字と聞くとネガティブな印象ですが、キャッシュフロー(お金の流れ)を見ると、2019年と2020年はどちらも営業キャッシュフローがプラスであり、設備投資や借入金返済などを勘案した最終的なフリーキャッシュフローも大きくマイナスにはなっていません。

会計上の赤字額から想像されるほど経営が不安定化しているわけではない、と判断しています。

配当歴

目安:過去10年間、無配当の年が無い

日本製鉄は2020年度に無配当の年があります。構造改革を理由として赤字を計上したことが、無配当の要因となっています。

収益の伸び

目安:過去10年間において、最初の3年間と最後の3年間の平均を比べて、一株当たり利益(EPS)が1.3倍以上増加

日本製鉄はこの10年間で一株当たり利益(EPS)が2倍以上に増加しています。特に、直近2年間は構造改革の恩恵や海外事業の好調などにより、EPSはコロナ禍前と比べて3倍以上に急成長しています。

割安度合い(PER)

目安:PERが15倍以下(※ 過去3年間の一株当たり利益(EPS)平均値を使って算出した値とする)

日本製鉄は、過去3年の平均EPSで算出した株価収益率(PER)が5倍程度であり、株価は「割安」と考えられます。また、今期(2023年度)の予想PERは7倍程度と、こちらも一般的には「割安」に分類される水準です。

割安度合い(PBR)

目安:PBRが1倍以下(※ PBR1倍以上の場合、PER×PBRが22.5以下)

日本製鉄の株価純資産倍率(PBR)は0.7倍となっています。PBRについても一般的に「割安」と分類される水準です。

その他、注目した点

在庫評価損の影響で、株価が割安に放置されている可能性

日本製鉄の会計上の利益は、事業で得た利益だけでなく、現在抱えている在庫(原材料の鉄鉱石や石炭など)の評価損益も一緒に反映されます(メーカーあるある)。

昨年(2022年度)は石炭などの原材料価格が高騰していた影響で、在庫評価額等+2000億円が利益に上積みされていました。しかしながら、今期(2023年度)は石炭価格が下落した影響で、在庫評価額等-1000億円が利益を押し下げています。

今期は在庫評価損の影響により昨年対比で減益予想となっていますが、一方で、実力ベース利益は過去最高(8,400億円見込)と予想されています。来期以降に在庫評価損の影響が解消されてくれば、会計上の利益も大きく上昇し、株価が上向いてくると考えています。

まとめ

日本製鉄は、粗鋼生産量で日本第1位、世界第4位の規模を誇り、世界中の人々の生活インフラを支えている企業です。

鉄鋼業は莫大な設備投資を必要とする産業であること、市況の波を比較的受けやすい産業であることなどから、「収益の安定性」にはやや不安も感じられます。

しかしながら、

  • 2024年1月現在のPBRは0.7倍、予想PERは7倍であり、割安な水準(=株価の下落余地が小さく、仮に下がったとしても想定内に収まる:安全域の確保)
  • 「電磁鋼板」や「超ハイテン」といった高機能分野に強みを持ち、電気自動車などの産業構造変化は追い風(=将来性が見込まれる)
  • 長年の構造改革が実り始めており、今期は実力ベース利益が過去最高を更新見込み(=長かったトンネルを抜けつつあるが、株価は最高値から半値以下であり、未だ株価に折り込まれていないと判断)
  • 予想配当利回りは4%以上であり、高配当銘柄

と好材料が多く、株式投資する判断をしました。世界の社会基盤を支える重要企業として、今後も末永く見守っていきたいと思います。

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