PERとPBRって何者?
PERとPBRから何が分かるの?
このような方におすすめの記事です。
- 株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)の違い
- PER比較:国内株式と米国株式
- PBR比較:国内株式と米国株式
- まとめ
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)は、どちらも株式投資の銘柄を選定する際に用いられる指標です。
なんだか小難しそうですが、一度意味を理解すれば、株式市場の様子や経済状況についてイメージしやすくなります。
ここでは、そんな株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)の違いについて、じっくり解説していきます。
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)の違い
そもそも、株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)とは何者なのでしょうか。
株価収益率(PER)とは、「企業が計上した利益がそのまま全て配当金として分配される場合、投資家は何年で投資分を回収できるか」を示す指標です。
現実世界における企業の業績(=純利益)が分母に、株式市場における企業の評価(=株価)が分子に配置されているため、現実世界と株式市場の”乖離”を表現することになります。
一方、株価純資産倍率(PBR)は、「企業が保有する1株当たりの純資産に対して、株価が何倍になっているか」を表す指標です。
現実世界における企業の純資産が分母に、株式市場における企業の評価(=株価)が分子に配置されているため、こちらもPERと同様に、現実世界と株式市場の”乖離”を表現することになります。
PERとPBRの使い分け
PERとPBRはどちらも 現実世界と株式市場の”乖離” を表す指標ですが、これら2つはどのように使い分けることができるのでしょうか。
PERは株価をその期間(当期)に計上した純利益で割ったものです。したがって、「直近」の業績からの乖離を示しやすいと言えます。
一方、PBRは株価をこれまでの経済活動で積み上げてきた純資産で割ったものです。したがって、より「長期的」な視点で株式市場の過熱具合を評価していると言えますね。
PERとPBRは、物差しにしている期間の長さが異なっていると考えていいでしょう。
PER比較:国内株式と米国株式
それでは、まず株価収益率(PER)について、東証株価指数(TOPIX)と米国株式(S&P500)を比較してみます。
ここ数年は米国株式(S&P500)の方がPERは高くなっていますね。
PERは「企業が挙げた利益に対する株価」を表す指数なので、日本よりも米国の方に、企業が現実世界で生み出している利益に対してより過剰に資金が流れている(=バブル)と読み取ることができます。
感染症蔓延により経済活動が低迷した2020年以降は、企業の利益が低下したにも関わらず株価は高止まりしているため、日本も米国もPERは上昇しています。
平常時のPERは15~20倍と言われているため、現実世界と株式市場の”乖離”が年々大きくなっている状態(=危険信号)と言えます。
PBR比較:国内株式と米国株式
続いて、 株価純資産倍率(PBR)についても、東証株価指数(TOPIX)と米国株式(S&P500)を比較してみます。
PBRは米国の方が圧倒的に高いのが分かりますね。
PBRは「企業が保有する資産に対する株価」を表す指数です。
国内に関しては企業の保有資産と同等程度に資金流入があるため、仮にここで日本企業がすべて解散しても投資家にほとんど資金を返すことができます(つまり、「身の丈にあった株価となっている」と言えます)。
一方、米国に関しては企業の保有資産の5倍もの資金が株式として流入しており、仮に米国の企業がすべて解散しても投資家にお金を返すことができません(現実世界と株式市場の乖離)。
投資をする方であれば、「米国株式市場はここ10年以上に渡ってバブル状態となっている」ことを頭に入れておいた方がいいと思います。
まとめ
最後に、株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)についておさらいしておきます。
株価収益率(PER):「企業が計上した利益がそのまま全て配当金として分配される場合、投資家は何年で投資分を回収できるか」を示す指標。
株価純資産倍率(PBR):「企業が保有する1株当たりの純資産に対して、株価が何倍になっているか」を表す指標。
PERとPBRはどちらも 現実世界と株式市場の”乖離” を示す指標です。
算出式の性質上、PERは「直近」の業績からの乖離を示しやすく、PBRはより「長期的」な視点で見た株式市場の過熱具合を示しています。
PERとPBRの推移を注視しつつ、株式市場がバブルと見て取れる時期はリスクを取りすぎないようにしていきましょう。
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