『ほったらかし投資術』読了。株式投資の入門書として最適な初心者向けの良書でした。
『ほったらかし投資術』簡単解説
『ほったらかし投資術』は、「インデックス投資の有用性とそのやり方について、初心者に分かりやすく解説する本」です。
本書は会社員ブロガーの水瀬ケンイチさんと証券マンの山崎元さんの共著であり、投資実践家と専門家の両方の視点で語られているのが特徴です。
これから資産運用を始める方、インデックス投資を考えている方にまず読んでほしいおすすめ本です。
資産運用の実行マニュアル
まずは生活防衛資金を確保
資産運用と言えば株式投資が頭に浮かびますが、筆者は「なによりもまず生活防衛資金の確保が必要である」と言います。
ケガや病気、会社のリストラなど、想定外の事態に備えて貯めておく生活資金のこと。
例えば、会社が積極的にリストラするような時期は経済状況も相応に悪化していることが多く、「リストラによる所得の減少」と「市況悪化による株式資産の減少」が同時に襲ってくる可能性があります。
したがって、まずは株式よりもリスクが低い現金・債券などで生活防衛資金を固めておくことが大事です。
本書では、生活防衛資金として生活費の3~6ヵ月分を確保しておくことが推奨されていました。
ちなみに、私は銀行口座の残高が100万円(生活費の約1年分弱)を超えたところで精神的に大きな余裕が生まれました。
自分の今の生活費と照らし合わせて、心地よく感じる生活防衛資金の額を掴んでいきましょう。
リスク資産と無リスク資産
生活防衛資金を確保したら、本格的な資産運用が始まります。
本書では、ローリスク・ローリターンの「無リスク資産」とハイリスク・ハイリターンの「リスク資産」の組み合わせによる資産運用法が紹介されています。
「無リスク資産」と「リスク資産」を組み合わせることで、万が一の場合に破産してしまうリスクを抑えつつ、効率的に資産形成ができるというわけです。
無リスク資産の代表例は「現金」と「債券」です。生活を”守る”資金をここで管理します。本書で紹介されているおすすめの無リスク資産は下記の通り。
- 現金:銀行預金(※1行1000万円まで)
- 債券:個人向け国債・変動金利10年満期型
リスク資産の代表例は「株式」、中でも「全世界株式インデックス・ファンド」がおすすめされています。全世界株式にタネ銭(元本)を投資し、お金を”増やす”運用をしていきます。
全世界株式インデックス・ファンドと言っても種類がいくつかありますが、「運営元の信頼性や手数料(信託報酬)の低さから、eMAXIS Slim全世界株式(オールカントリー)」がベスト!」と紹介されていました。
eMAXIS Slim全世界株式(オールカントリー)は「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year 2022」でも1位に輝いており、非常に人気の投資銘柄です。
私もこの銘柄で積立投資を継続しています。
また、政府は株式投資をする国民に対して節税制度も用意していますので、積極的に利用していきましょう。
インデックス投資のメリット3つ
本書では、「インデックス・ファンドこそ万人におすすめできる投資商品である」と一貫して主張されています。
特定の株式指数に連動するように投資銘柄・比率が選定された投資商品。
株式指数の例としては、日本のTOPIX(東証一部)やS&P500(米国の時価総額上位500社)などがある。
インデックス・ファンドがおすすめされる理由は次の3つです。
- 手数料が安い
- 分かりやすい
- 負けにくい
株式投資には手数料がかかります。その代表例が「信託報酬」と呼ばれる手数料です。インデックス・ファンドは株式指数に連動するよう”機械的”に銘柄選定する商品なので、余計な人件費がかからず、手数料が低く抑えられています。
また、インデックス・ファンドは株式指数に連動するため、個別の会社銘柄を売ったり買ったりして管理する必要が無く、非常にシンプルに運用できる点も魅力です。
さらには、株式指数に連動するインデックス・ファンドの運用成績は、投資の”プロ”が運用するアクティブ・ファンドの運用成績よりも高い傾向にあることが過去のデータから判明しています(プロでも相場は読めないという事です)。
手数料が安く・分かりやすく・負けにくい「インデックス・ファンド」は株式投資の最適解と言えるでしょう。
インデックス投資のデメリット2つ
もちろん、インデックス投資にはデメリットと言える部分も存在します。
- お金を増やすのに時間がかかる
- 地味で退屈
インデックス投資は株式指数に連動した商品で運用します。株式指数が長期的に見て右肩上がりすることは歴史が明らかにしていますが、一般にその平均利回りは数%であり、年単位で資産が倍、倍に増えることはありません。
10年、20年と投資し続けて初めて資産の増加が実感できる投資法であることを知っておく必要があります。
また、一般的なインデックス投資は、毎月の積立額を一度設定したら後は自動的に積立されていくシステムです。そのため、株価の変動に一喜一憂したり、PCに張り付いて売買を繰り返すことはありません。
競馬や競艇のような”スリル”を株式投資に求める人には向かない投資法と言えるでしょう。
インデックス投資の出口戦略
インデックス投資の売り時はいつ?
インデックス投資は毎月定額を積立していくのが基本ですが、売却するタイミングは一体いつなのか気になります。
筆者は、「お金が必要になった時に、(躊躇なく)必要な分だけ売ればよい」と非常にシンプルに回答しています。
株式に投資して資産運用するそもそもの目的は、「将来のためにお金を増やすこと」です。したがって、お金が必要なタイミングがきたら、その時の評価額がいくらかに関わらず、必要な分を売るのが本来の目的に沿った行動と言えますね。
そうは言っても、なにかうまいやり方があるんじゃないの?
このような方に対して、筆者は次のような「考え方のヒント」を提供しています。
相場に合わせて売買するのはNG
筆者は、「株式市場の相場に合わせて売却タイミングを伺うのはやめた方がいい」と助言します。
ほったらかし投資のいいところは、「資産運用のために時間をかけずに済む」点です。もし、株価が上がって評価額が高くなっているときに売ろうと考え始めると、結局、株価チャートとにらめっこの日々が始まります。
ほったらかし投資を実践するのであれば、「必要な時に必要な分だけ売る」を最後まで徹底するのが合理的かつ精神的にも優しい方法ですね。
以上、『ほったらかし投資術』の紹介でした。
これから資産運用を始める方、インデックス投資を考えている方はぜひ読んでみて下さい。
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