今回は、元プロ野球選手、中日ドラゴンズの監督も務めた落合博満さんの著書『采配』について紹介していきます。
「采配」の簡単解説
本書はその名の通り、落合博満さんの「リーダー論」、「組織論」について描かれた本です。
落合さんは中日ドラゴンズの監督を8年間務め、そのうち4度のリーグ優勝、1度の日本シリーズ優勝を果たした名監督です。
独自の戦術や発言などはしばしば「オレ流」として話題になっていました。
落合さんはプロ野球選手になる以前、社会人野球チームに所属しながら5年間サラリーマン生活を送っていたこともあり、スポーツ選手のみならず一般の社会人の方も学ぶことの多い内容となっています。
落合博満は「天才」だったのか
落合さんはプロ野球選手として3度の3冠王、プロ野球監督としては4度のリーグ優勝を果たすなど華々しい成績を残しました。
そんな落合さんは突出した”才能”に恵まれていたのでしょうか。
もちろん才能を持っていたことは事実だと思いますが、これだけの成績を残すことができた裏に相当の”努力”があったことは世間的にあまり知られていません。
例えば、こんなエピソードがあります。
表向きには”天才”のように見える人でも、裏ではもがき苦しむような”努力”があるというのは、どの世界でも共通のことかもしれません。
数値目標を達成するための唯一の方法
プロ野球選手・監督として、輝かしい成績を残した落合は、目標を達成するための唯一の方法として次のことを挙げています。
そこで、私が実践してきた唯一の方法を明かしておく。それは、「達成するのは不可能ではないか」という目標を設定することだ。
『采配』46ページ
例えば、プロ野球で打率3割を目標にしている選手は、2割9分ぐらいになってくると急に目標を意識し始めて思うようなプレーができなくなると言います。
企業で売上目標や顧客獲得の目標がある人も同様の経験がありますよね。
これは、「目標」だったものが、達成しなければならない「ノルマ」に代わってしまうからです。
この心理的な壁を打ち破るためには、あえて達成不可能と思える高い最終目標を掲げておいて、その過程にあるいくつかの目標を「通過点」として捉えることがカギになります。
私が現役時代に毎シーズン「3冠王を獲ります」と宣言していたのも、打撃タイトルを3つとも独占しようと取り組んで初めて、ひとつ、ふたつと手にできるということを、身をもって感じていたからである。
『采配』48ページ
達成不可能と思える高い目標を掲げると、根本的に取り組み方を見直すきっかけにもなります。
落合さんは野球選手としての能力だけでなく、メンタルコントロールも優れていたことが分かるエピソードだと思います。
「仕事の成果」と「幸せに生きること」は別
3冠王の栄光や高額な年棒を手にした落合さんでも、いったん家に帰れば、くすぶっていた若い頃と同じように「白飯を食べれればそれで幸せ」だと言います。
どんなに社会的に成功して地位・名誉・報酬を手にした人でも心を病んでしまうこともあれば、
やりがいを感じる仕事に巡り合えなくても人生を満喫している人だっています。
つまり、「仕事の成果」と「幸せに生きること」は全く別物だということです。
大切なのは、何の仕事に就き、今どういう境遇にあろうとも、その物語を織り成しているのは自分だけだという自負を持って、ご自身の人生を前向きに采配していくことではないだろうか。
『采配』295ページ
「好きを仕事にする」とか、「仕事を通して自己実現する」などと言われる時代において、落合さんの経験に基づいた提言には考えさせられるものがあると思います。
以上、
落合博満さんの著書『采配』について紹介しました。
会社で働くサラリーマンにも学ぶものが多くあるオススメの本なので、ぜひ手に取って読んでみて下さい。
コメント