『千年の読書』簡単解説
『千年の読書』は、「200冊以上の本紹介を通して、仕事、お金、科学、死などのテーマについて考えていくエッセイ集」です。
著者の三砂慶明さんは、書店員として本を販売する傍ら、エッセイを連載するなど、執筆家としても精力的に活動されている方です。
本書では実に幅広い分野の書籍が紹介されているので、きっと自分にぴったりの一冊が見つかるはずです。
「読書が好き」、「次に読む本を見つけたい」という方にオススメの一冊です。
「本」には人生を変えるほどの力がある
「読書なんて本好きの単なる”趣味”でしょ?」
「本を読んだってなにも生まれないよ」
こう考える方がいるかもしれませんが、歴史を遡ると、本は世界を動かすほどの大きな影響を及ぼしてきとことが分かります。
本が大きな力を発揮する場面の一つに、「戦争」があります。
第二次世界大戦時、ナチス・ドイツのヒトラーは国民を戦争に仕向けるため、1億冊以上もの本を発禁・焚書にして思想統制を進めました。人間の自由な発想や豊かな想像力を殺すためには、「読書」を禁じることが必要と考えたのです。そして、実際に、ナチス・ドイツでは人間の所業とは思えないユダヤ人大虐殺が行われました。
当時、ヒトラーの暴走を止めるために立ち上がった組織がありました。その一つが、アメリカ図書館協会です。図書館員たちは「思想戦における最強の武器と防具は、本である」と考え、なんと一億四千万冊もの本を戦場に送り届けたのです。
本を送ることが人間の力になる。戦場に送られた本は、奪うようにして読まれ、活字がすり減るまで読み返されたといいます。(中略)
戦場に送られた本は、ある人にとっては孤独で退屈な日々から抜け出す切符になり、またある人にとっては遠く離れた日常生活を思い出させるきっかけになりました。
『千年の読書』(誠文堂新光社)30ページ
まさに、図書館戦争。このエピソードを聞くだけでも、「本には人生を変えるほどの大きな力がある」ことが容易に想像できます。
本との出会いは人との出会い
「読書」の意義は、単に「新しい知識を吸収する」だけでなく、「その本を書いている著者と出会い、対話する」ことにあると本書で述べられています。
ソクラテスやプラトンに会いに行こうとすれば、ギリシャまでのチケットを手配し、そこからさらに時空をさかのぼった上で、当時の言語を習得しなければ、彼らの考えに耳を傾けることはできません。しかしながら、この到底実現できそうにないアイデアを、手のひらにおさまる小さな文庫が、もうすでに実現していることを私たちは知っています。
『千年の読書』(誠文堂新光社)287ページ
この筆者の「読書観」に私は強く同意します。
会うのが困難な「外国の著名人」や「もう存命でない過去の方」とも、本を通してであれば、たった千円程度で、今すぐお話を聞くことができる。これは、よく考えれば、ものすごいことです。
周囲に意見の合う人がいなくても、本を通じて気の合う著者を見つけることができますし、現実世界で「こうなりたい」と尊敬できるような人がいなくても、国や時代を越えて、自分だけの”師匠”を見つけて弟子入りすることができます。
私はよく本を読みますが、「本には値段以上の”価値”をいつも頂いている」と本当に実感します。
ぜひ皆さんにも、自分にピッタリの本を見つけてほしい。そして、「人生を変える本探し」が、このブログの本紹介を通してお手伝いできれば、とても嬉しいことだと思っています。
さいごに
本記事では、『千年の読書』を紹介しました。
本書では200冊以上の本が紹介されており、ジャンルは仕事、お金、科学、死など多岐に渡ります。
私はこの本を読んで、さっそく数冊の本をAmazonで購入しました。
「読書が好き」、「次に読む本を見つけたい」方にオススメの一冊なので、ぜひ手に取ってみて下さい。
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