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【感想】『Humankind 希望の歴史』を読んで

『Humankind 希望の歴史』(ルトガー・プレグマン)という本を読みましたので、解説と感想を紹介していきます。

目次

『Humankind 希望の歴史』簡単解説

本書は、ジャーナリストで歴史家のルトガー・プレグマンによる、人類の歴史に関する書籍です。

著者の主張を端的にまとめると、「歴史の中で”人間は本来邪悪なもの”として描かれているが、そうではない。人間の思いやりや友情こそが時として残酷な事件や戦争を生み出しているのだ。」といった感じになります。

例えば、「スタンフォード監獄実験」や「ミルグラムの電気ショック実験」は人間がいかに残忍かを示す心理実験として有名です。

しかし、これらは実は全くの”ウソ”であることを示し、人間に対する誤った解釈を生んでいると主張します。

これまでの歴史に対する認識が一変するかもしれない、必読の書となっています。

善人が悪人になる理由

第二次世界大戦の最中、ドイツ軍は劣勢に立たされても最後まで死を恐れずに戦い続けます。

当時、人々の頭を悩ませたのは、「ドイツ軍をここまで駆り立てるものは何なのか?」という命題でした。

当初、研究者たちはこの命題に対する答えとして、「ドイツの人々は(ヒトラーによって)洗脳されている」と考えます。

しかし、実際にドイツの人々にインタビューするなどして研究を進めるうち、 彼らを駆り立てていたのは「仲間を絶対に見捨てないという友情」であることに気づきました。

彼らが戦ったのは、国のためというより、仲間のためだった。

『Humankind 希望の歴史(下)』21ページ

第二次世界大戦における日本軍の行動においても、同じではないでしょうか。

命令を受けて身一つで特攻した人々も、「日本国の名誉のため」とか、「日本国を守るため」という理由だけで命を投げ出したのではないと思います。

それよりも、「これで少しでも自分の家族・愛人の命が守られるなら」といった、強い絆で結ばれた特定の人物の顔が脳裏に浮かんでいたことでしょう。

企業の不正会計はなぜ起こり続けるのか

戦争ほど極端な状況ではありませんが、「論文の不正行為」や「企業の会計における不正行為」も基本的に同じ理由で起こると想像できます。

学会から注目を集めるようなデータを示して教授のポストを維持し、家族を食わせなければいけない。

業績が好調であることを示さないと、自分の部下ごとリストラの対象になるかもしれない。

このように、社会で働く人々は自分以外の人間の運命も背負って生きています。

不正行為の動機はなにも「良く見せたいという虚栄心」だけでなく、「仲間を守らなければいけないという気持ち」だったりするのです。

「悪事を働く人⇒悪人」ではなく、「仲間を守らなければならない⇒善人でも悪事を働くことがある」と考えると、世の中の出来事に対してより理解が進むのではないでしょうか。

以上、

『Humankind 希望の歴史』という本の解説と感想を紹介しました。

人間の歴史や人間そのものに対する考え方が一変する可能性のある本です。

ぜひ皆さんも一読されることをオススメします。

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