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【感想&解説】『世界をつくった6つの革命の物語』を読んで

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『世界をつくった6つの革命の物語』簡単解説

『世界をつくった6つの革命の物語』は、「革新的技術がどのように生まれて社会へ浸透していくのか、歴史を紐解きながら捉えていく本」です。

これまで人類は様々な革新的技術を発明し、その度に大きな社会変化を経験してきました。本書では、次に示すような技術発明を巡る物語が描かれています。

6つの革命
  • ガラス(眼鏡、望遠鏡、光ファイバー…)
  • 冷たさ(冷蔵技術、エアコン…)
  • (電話、ラジオ…)
  • 清潔(下水道、塩素処理…)
  • 時間(標準時間、原子時計…)
  • (電球、レーザー…)

今回は、私が読んでいて特に印象に残った「電球の発明」を巡る物語を紹介していきます。

エジソンは「最初に電球を発明した人」ではない?

トーマス・エジソンは「電球を発明した人」としてその名が知られており、イノベーションの代名詞として語られています。

「電球の発明は”天才のひらめき”によって生まれた」という通説が浸透していますが、実は、エジソンが電球の開発に着手するなんと80年も前から白熱電球は発明されていたそうです。

発明者国籍
1838ジョバールベルギー
1840クローヴイギリス
1841デ・モーリンイギリス
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1879エジソンアメリカ
白熱電球の発明年譜:『世界をつくった6つの革命の物語』(朝日新聞出版)265ページより抜粋

本書によると、1840年代までの間に、数十人の発明家がさまざまな電球の開発を進めていたとのこと。

最初の特許は、1941年にデ・モーリンというイギリス人に認められています。それから何人もの科学者が電球の改良に取り込んでおり、エジソンが独自の電球を開発したのは1879年(最初の電球に関する特許から38年後)のことでした。

エジソン以前に多くの発明者が開発していたにも関わらず、なぜ、エジソンが「電球を発明した人」として伝えられているのでしょうか。

それは、エジソンが初めて、電球を一般家庭でも使えるような形で社会に”普及”させたからです。

エジソンの電球発明は、スティーヴ・ジョブズによるMP3プレーヤーの発明のようなものである。最初に発明したわけではないが、市場に出せるものを初めてつくったのだ。

『世界をつくった6つの革命の物語』(朝日新聞出版)266ページ

エジソンは「発明家」であると同時に、優秀な「ビジネスマン」でもありました。

エジソンは電球の材料として用いられるフィラメント用の炭化竹を大量に確保するため、ブラジル、キューバ、中国、日本など、世界各国に使者を送り込んでいたことが知られています。まるで”総合商社”さながらの働きです。

また、電球が社会に普及するためには、電球そのものだけでなく、「信頼できる電力源」、「電力の配電網」、「電球を配電網につなぐメカニズム」、「各家庭の電力メーター」などが必要です。

これらを全て整備するところまで手掛けたことで、初めてエジソンは電球を社会に”普及”させることに成功したのです。

エジソンはテクノロジーを発明しただけではなく、発明のためのシステム全体を発明したのであり、そのシステムが二〇世紀の産業を牛耳ることになった。

『世界をつくった6つの革命の物語』(朝日新聞出版)270ページ

世に送り出すまでが「発明」

エジソンの発明物語を振り返ると、「発明」に対する捉え方が変わるのではないでしょうか。

世の中で「発明者」として知られている人は、「第一発見者」ではなく「初めて世の中に送り出した人」の場合が多いようです。

「家に帰るまでが遠足」とよく言われるように、「世に送り出すまでが発明」なのかもしれません。

エジソンの名言の一つに、次のようなものがあります。

天才とは、1%のひらめきと99%の努力である

確かに、エジソンは”ひらめき”によって独自の電球を開発しました。しかし一方では、原材料・電力の安定確保から送電網の整備まで、地道な”努力”を一歩ずつ積み重ねることによって最終的に電球を普及させたのでした。

社会を変えるようなイノベーションを起こすためには、それだけ泥臭い仕事も必要だよ。

エジソンの名言の裏には、こんな想いが込められているように感じられます。

以上、

本記事では『世界をつくった6つの革命の物語』を紹介しました。

「技術革新の歴史に興味がある人」はぜひ一度読んでほしい作品です。

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