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【感想&解説】『死ぬ瞬間の5つの後悔』を読んで【働きすぎのあなたへ】

『死ぬ瞬間の5つの後悔』という本を読んで、人生について深く考えさせられました。

目次

『死ぬ瞬間の5つの後悔』簡単解説

『死ぬ瞬間の5つの後悔』は、「人間が死ぬ間際に最も後悔することに焦点をあてた本」です。

著者のブロニ―・ウェアは介護師として数多くの患者の死に立ち合い、死ぬ間際の患者との会話を通して、「人生において大切なこととはなにか」を考えたと言います。

本書で紹介されている、死ぬ間際の患者が人生について後悔することTop5は次の通りです。

  1. 自分に正直な人生を生きればよかった
  2. 働きすぎなければよかった
  3. 思い切って自分の気持ちを伝えればよかった
  4. 友人と連絡を取り続ければよかった
  5. 幸せをあきらめなければよかった

筆者と患者達との実際の会話やエピソードをもとに話は進行していき、患者の気持ちがリアルに感じられる作品でした。

働きすぎなければよかった

私が本書を読んで特に印象に残った『2. 働きすぎなければよかった』について少し掘り下げてみます。

まずは、このパートに登場する患者ジョンの人生について紹介します。

夫のジョンと妻のマーガレットは5人の子を育てあげ、お金の心配もする必要のないぐらいの裕福な老夫婦でした。マーガレットは子供たちが巣立ってから夫婦でのんびり旅行がしたいと思い、夫のジョンに「仕事を引退してほしい」と言います。しかし、ジョンは「もう少し働きたい」といって引退を先延ばしします。マーガレットが何年もお願いを続け、ようやく重い腰を上げて引退を決意したジョンですが、時すでに遅し。ジョンが引退直前になってマーガレットは重い病を患い急死、夫婦でのんびり旅行する老後の計画は実現しませんでした。

当時、ジョンは仕事が好きで、職場で与えられた地位(肩書き)にも満足していたため引退に後ろ向きでした。しかし、妻のマーガレットが急死してしまった今、引退を先延ばしたことをこう振り返ります。

私は仕事がとても好きだったよ。もちろん、それに地位にもすごく気に入っていた。けれど、今となってはそれが何になる? 私は人生で本当に大切なものに十分な時間を費やさなかった。マーガレットと家族、そう、大切なマーガレットに。

『死ぬ瞬間の5つの後悔』(新潮社)104ページ

そして、ジョンは引退を先延ばししていた当時の心境についてさらに深く考察します。

私は怖かったのだと思うよ。そう、怖かったんだ。怯えていた。ある意味、地位が私の価値を決めていた。もちろん、こうして死を控えてここに座っている今は、良い人間でいることだけで、人生は十分以上だと知っている。我々はなぜ、物質的な成功で自分の価値を計ろうとするのだろう?

『死ぬ瞬間の5つの後悔』(新潮社)104ページ

ジョンは与えられた地位に満足していたと同時に、その地位から降りることをひどく恐れていました。仕事上の地位(肩書き)こそが、当時のジョンのすべてだったのです。そのため、引退を決断することができず、死ぬ間際になってそれを後悔することとなりました。

仕事には”中毒性”があります。定期的に訪れる「昇格」。年功序列で右肩上がりに上昇する「給料」。結果を出すと増える「ボーナス」。この中毒性の高いゲームの中に何十年も浸っていると、自分が本来やりたかったことはなにか、自分が大切にしているものはなにか、見失ってしまうことを示唆するエピソードだと思います。

ジョンは自分の人生を回想し、最後に次のような助言をします。

「より良い暮らしを求めるのは悪い事ではない。誤解しないでほしい」彼は続けた。「でもさらに上を求めつづけることになるし、自分の業績や持っているもので判断したいという気持ちの表れだから、結果的に愛情とか、自分が本当に好きなことをする時間とか、自分の人生のバランスなど、本当に大事なものから離れていってしまう。きっと大事なのはバランスだ。そうじゃないかな?」

『死ぬ瞬間の5つの後悔』(新潮社)104ページ

最近は「ワーク・ライフ・バランス」という言葉をよく聞くようになりました。ワーク・ライフ・バランスとは、「仕事と育児・趣味といった仕事以外の活動との調和をとり、その両方を充実させる生き方」を指します。

国は「働き方改革」と題してワーク・ライフ・バランスを実現するよう制度化を急いでいますが、反対に言えば、制度として規制をかけなければいけないほどに現代人は仕事に飲み込まれているということです。

人生の”先人”の多くが「働きすぎなければよかった…」と後悔しているわけですから、今まさに働き世代の我々も、自分の生活について見直す必要があるかもしれません。

以上、

『死ぬ瞬間の5つの後悔』という本について紹介しました。

死ぬ間際の人間が何を思うか知ることは、自分の人生を見直す上で非常に参考になると思います。

今回は「働きすぎなければよかった」の部分だけ取り上げましたが、他のパートも非常に興味深い話が多いので、ぜひ一読されることをおすすめします。

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