『中年の本棚』という本が、10年後に読み返したくなる本でした。
『中年の本棚』簡単解説
『中年の本棚』は、”中年”を題材にした本を紹介しながら、中年期に特有の「悩み」や「思い」を紐解いていく作品です。
筆者の荻原 魚雷は日本の文筆家であり、筆者がちょうど中年期にあたる43~50歳の間に執筆したコラムをまとめたものが本書になります。まさに、「中年による、中年のための本」と言えるでしょう。
今アラフォー、アラフィフの方々にとっては、とても共感することが多い本だと思います。
中年を覗いてみる
現在20代後半の私がなぜ本書を手に取ってみたのか考えてみると、「”中年”に分類される職場の先輩や将来の自分の気持ちを覗いてみたい」という好奇心があったのだと思います。
実際に読んでみると、共感できなかった箇所もあれば、なんとなくそんな気持ちも想像できる箇所もありつつ、最後まで楽しめました。
本書で触れられている「中年に特徴的な悩みの種」としては、例えば次のようなものがありました。
- 自分自身の限界
- 変わらない現実
- 将来への展望のなさ
- 新しい挑戦への倦怠感
筆者は中年と呼ばれる40代に入って、実際にこのようなことを悲観する自分に気づいたと言います。
中年になって以来、私はこの先、奇跡みたいなことが起きて、人生が劇的に変わるとは考えられなくなった。食べすぎればお腹が出てくるし、飲みすぎれば二日酔いになる。無理をすれば体調を崩す。宝くじは当たらない(買ってない)。叶うかどうかわからない望みを持たなくなり、無茶もしなくなった。人生には小説みたいなことは起こらない。
『中年の本棚』(紀伊国屋書店)151ページ
生活が落ち着いたからもう現状維持の方向に切り替えていったのかと想像していたら、そういうニュアンスでもないみたいです。
とはいえ、自分が中年といわれる年齢になってみると、現状に満足してものを考えなくなることより、変わらない現実や将来への展望のなさを痛感し、思考停止に陥ってしまうことのほうが多い気がする。
『中年の本棚』(紀伊国屋書店)262ページ
なぜ将来展望が「ない」と思ってしまうのか。それは、「自分が思い描く理想と現実のギャップを把握した上で、今の人生曲線の傾きでは、その理想に到底到達することができないと判断しているから」だと思います。
確かに、代わり映えしない生活が10年、20年と続いたら、あと何年繰り返しても現実はこのまま変わらないと思ってしまいそうです。
将来に絶望して思考停止しないために
中年期に陥りがちな「将来に絶望して思考停止する現象」にハマらないためには、一体どうすればいいのでしょうか。
私が思いつく解決法の一つは、「若いうちから環境を変えて、人生曲線が”非連続的”に変わる経験を積んでおくこと」だと思います。
もし、人生は非連続的に変わることを経験していれば、たとえ今の現実が停滞していても、きっといつか好転する日が来ると信じて努力を続けられるでしょう。
私の経験で言えば、大学生時代にフィリピンへ数ヵ月ほど語学留学した際、(大げさではなく)それまでの価値観が一変するような衝撃を受けましたし、英語のスキルも一気に向上しました。この経験が得られたのも、新しい環境に果敢に飛び込んだからこそと思います。
もちろん、環境を変えたからと言って何かが必ず得られるとは限りません。しかし、私の短い人生を振り返っても、人生の転機と言えることは新しい環境、新しい人との出会いの中で生まれてきたと感じています。
会社に入社してからは比較的穏やかな日常を送っていますが、またどこかで、環境を変えて挑戦するタイミング(転職など?)を設けてもいいのかなと思いました。
以上、
『中年の本棚』を紹介しました。
”中年”と呼ばれる世代の人はとても共感が得られる本だと思いますし、まだ中年でない若い人でも、中年に向かってこれからどんな人生を歩んでいこうか、想像が膨らむ本だと思います。ぜひ一度読んでみて下さい。
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