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【感想&解説】『人生の意味の心理学』を読んで【新感覚の”幸福論”】

心理学者アドラーの代表作『人生の意味の心理学』が、「人生の意味」という壮大な問いに挑む面白い作品でした。

目次

『人生の意味の心理学』簡単解説

『人生の意味の心理学』は、心理学の立場から、「人生とはなにか」、「幸せとはなにか」を考察していく本です。

著者のアルフレッド・アドラーは、1900年代前半に活躍した精神科医です。アドラー心理学を基にした『嫌われる勇気』は日本でベストセラー書籍となりましたね。

アドラー心理学はしばしば「個人心理学」と呼ばれ、個人的な「悩み」の原因と対処法を提供してくれます。

人生に意味はあるんだろうか?

幸せってなんだろう?

一度でもこのように考えたことのある方に、ぜひオススメしたい本です。

避けては通れない「人生の三つの課題」

「人生の意味」や「幸せ」について考える上で、まず理解しなければならないことがあります。

それは、人生には避けて通れない「課題(タスク)」があるという事です。

アドラーは次のように「人生の三つの課題」を挙げています。

人生の三つの課題
  • 「仕事」の課題
  • 「人間関係」の課題
  • 「愛」の課題

「仕事」の課題

私たちは広大な宇宙の中の”地球”という星で暮らしています。そして、私たちはこの地球上で「人類の構成員」として生きています。

食料を生産する「農家」、衣服を販売する「アパレル社員」、住宅を建造する「建築作業員」…。

社会には実に多くの「仕事」が存在しており、各人が各所で自分の能力を発揮しながら、互いに助け合って生きています。

この地球上で「人類の一員」として生きていくには、「社会の中で自分の役割(仕事)を持つ」ことから目を逸らすわけにはいきません。

「人間関係」の課題

私たちは「人類の構成員」であり、たった一人で生きていくことができません。

家族、友達、会社の同僚、地域の人々…。これらの人と一切関わらずに生きていくことは不可能でしょう。

私たちは他者と触れ合い、協力しながら生きています。

他者と良好な関係を築く努力を止めてしまえば、人生はより困難なものになることが容易に想像できます。

「愛」の課題

人類は「男性」と「女性」から構成されています。これは紛れもない事実です。

「付き合っている人と喧嘩した」、「結婚生活がうまくいっていない」…。異性との関係が悩みの種になることは非常に多いですよね。

私たちは異性の存在を無視して暮らすことはできませんし、互いに協力して生きていかなくてはなりません。

「人類の構成員として生きていく」ことは、「異性とうまく協力しながら暮らしていく」ことでもあるのです。

幸せとはなにか

ここで、先ほど挙げた「人生の三つの課題」(=仕事・人間関係・愛)のすべてがうまくいっている人を考えてみます。

自分の強みを生かした仕事に就いており、周りからも高く評価されている。親や兄弟とも密に連絡を取っていて、妻との結婚生活は順調だ。

好きな業界で特技を生かせる仕事に就いており、大きなお金の心配もない。定期的に遊ぶ友人に恵まれ、信頼できる彼氏がいる。

もし自分自身に対してこのような評価を与える人がいれば、その人はたぶん自分のことを「幸せ者」と呼ぶでしょう。

幸せとは、『「人生の三つの課題」がうまくいっているように感じること』と理解できます。

『「人生の三つの課題」(=仕事・人間関係・愛)がうまくいっているように感じる』とはつまり、「人類の構成員としてうまくやっているように感じる(=共同体感覚)」と同義です。

アドラーは「幸せ」を考える上でこの「共同体感覚」をキーワードに挙げています。

自分自身の幸福と人類の幸福のためにもっとも貢献するのは共同体感覚である。

『人生の意味の心理学』(アルテ)12ページ

人生に意味はあるか

もし仮に、

私の人生に意味はない。私なんて、居てもいなくても一緒だ。

と感じてしまう人がいるとします。

彼に欠けているのはまさに「共同体感覚」です。

彼は「人生の三つの課題」(=仕事・人間関係・愛)のなにかがうまくいっておらず、「人類の構成員」として自分の存在意義を見出せていない可能性があります。

多くの人から慕われていて人間関係の良好な人は、そもそも「自分の人生に意味はあるか」と思い悩むことすらないでしょう。

人生の意味」とはつまり、「他者から見た自分の存在意義」と言うことができます。

人生の意味が分からなくなった時、「私は人生で何をやりたいんだろう」と自分の中をグルグル探しても、答えはなかなか出てきません。仕事を辞めて自分探しの旅に出ても、やはり、人生の意味は見つからないかもしれません。

「私は”他者に”何をしてあげられるか」と他者への貢献を第一に考えることが、共同体感覚、ひいては、幸せな日々へと繋がっていくのだとアドラーは主張しています。

さいごに

今回は、『人生の意味の心理学』(アルフレッド・アドラー)を紹介しました。

「自分の好きなことを明確にしよう」、「やりたいことは我慢せずに全部やろう」…。最近では”個人”が大変にもてはやされる時代になりましたね。

一方で、興味・関心のベクトル(矢印)を自分自身に向けてばかりいると、「共同体感覚」を失い、人生の意味を見失ってしまう可能性があるとアドラーは警告しているようにも思えます。

「幸せとは?」、「人生の意味とは?」。興味ある方はぜひ手に取って読んでほしい作品でした。

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