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【感想】『ウォール街のランダムウォーカー』を読んで【株式投資のバイブル】

株式投資の名著『ウォール街のランダムウォーカー』を読みましたので、紹介していきます。

目次

『ウォール街のランダムウォーカー』簡単解説

『ウォール街のランダムウォーカー』は、1973年に初版が出版されてから約50年近く読み継がれている株式投資の名著です。

著者のバートン・マルキールは大学研究者・投資会社役員・個人投資家などとしての肩書きを持ち、株式投資を複合的な視点で説明していきます。

本書では「専門的な経済理論」から「個人投資家におすすめの投資手法」に至るまで、株式投資に関する知識が網羅的に解説されています。

初心者向けの投資本を読み終えて、もっと詳しい投資の本を読みたくなった方におすすめの一冊です。

「ランダム・ウォーク」とは

本書のタイトルの元となっている「ランダム・ウォーク」とは、「物事の過去の値動きからは、将来の動きや方向性を予測することは不可能である」ことを意味する言葉です。

著者は、「株価の値動きは本来予測できないものであるから、将来の値動きを予測して銘柄選定したり、売買を繰り返す必要のない商品(例えば、インデックスファンドなど)を買うべきである」と本書で主張しています。

本書の初版で私が発したメッセージは、「個人投資家にとっては、個々の株式を売買したり、プロのファンドマネージャーが運用する投資信託に投資するよりも、ただインデックス・ファンドを買ってじっと持っているほうが、はるかによい結果を生む」という単純明快なものだった。

(中略)

それから四〇年以上経った今、私はこの考え方に一層確信を持つようになった。というのも、それが今では実際の運用結果によって裏打ちされているからである。

『ウォール街のランダム・ウォーカー 原著第11版』(日本経済新聞出版社)1ページ

これまで投資家やトレーダー達は、企業の財務諸表から将来性を算出する手法や株価の値動きから将来の株価を予測する手法を考えてきました。

しかしこれらのほぼ全ての手法は、長期的に見ると市場平均すら下回る成績であることが長い年月を経て実証されてしまいました。

株式投資の”プロ”なる人が言う”それっぽい”投資方法に惑わされないためにも、株式投資にまつわる正しい情報を仕入れておくことは大事と思います。

財産管理の10カ条

本書では個人投資家が守るべき財産管理の原則として、10つの項目が挙げられています。

一部は「それ、アメリカでは確かに当てはまりそうだけど、日本ではどうなんだろう…」という項目もありましたが、それも含めて紹介したいと思います。

財産管理の10カ条
  1. 元手を蓄えよ
  2. 現金と保険で万一に備えよ
  3. 現預金でもインフレ・ヘッジ
  4. 節税対策と年金制度の活用
  5. 運用目標をはっきりさせる
  6. マイホームの活用
  7. 債券市場に注目
  8. 金・ダイヤ・書画骨董・コレクターアイテム
  9. 投資にかかるコストに目を配る
  10. 分散投資が大原則

1. 元手を蓄えよ

「資産形成において重要なのは、成長性のある企業を見つけて一発当てることではなく、今すぐ貯蓄を始めて複利の力を借りることである」と著者は断言します。高いリターンが見込まれる銘柄には、必ず同じくらい高いリスクが潜んでいるものです。一方で、低いリターンでも時間を味方につけて継続的に投資すれば、大きなリスクを抱えず、着実に資産を増やしていくことが可能です。そして、継続的な投資のためには、元手が必要になります。

2. 現金と保険で万一に備えよ

資産形成を急ぐあまり財産の大部分を株式投資に全振りする方がいますが、これは推奨されていません。なぜなら、想定外の事態(例えば、事故・入院と株価の暴落が同時に重なるなど)が起こった場合に家計が崩壊する可能性を秘めているからです。まずは現金で生活防衛資金を確保し、必要に応じて保険なども検討しておくのがいいですね。

3. 現預金とインフレヘッジ

現金を金利の低い銀行へ預けておくだけでは、実質的な資産は一定どころかマイナスになる可能性すらあります。これは、物価のインフレによって「円の価値」が下がる可能性があるからです(例えば、牛丼一杯300円から牛丼一杯600円になると、円の価値が半分になったのと同義)。そのため、現金がある程度貯まってきたら、少しでも金利の高い「ネット銀行」や「国債」などを利用して、インフレに備えることが推奨されています。

4. 節税対策と年金制度の活用

資産が増えるほど支払う税金の金額は大きくなり、ボディーブローのように家計に効いてきます。資産形成・資産管理は一生続けるものなので、早めに節税対策を施しておきましょう。日本で行える代表的な節税手法としては、株式投資の運用益が非課税になるつみたてNISA、節税しながら老後資金を積み立てることができるiDeCoなどがあります。

5. 運用目標をはっきりさせる

資産形成をする目的や現在の年齢によって、許容できるリスクは異なります。例えば、働き盛りの20代、30代であれば、リスクがやや高い株式投資でも資産の半分以上を運用できるかもしれません。一方で、すでに定年退職した60代であれば、現金と債券で資産の大部分を管理するのが推奨されます。運用目標をはっきりさせ、ライフステージに応じて資産運用方法も変えていく必要がありますね。

6. マイホームの活用

本書では「マイホームの活用(購入・売却)」が紹介されています。しかし、これは不動産の価値が右肩上がりであるアメリカにおいて成立する話であり、人口減少で不動産の価値が低下する可能性のある日本では、あまり参考にならない項目と私は感じます。仮に不動産で資産運用したい場合は、日本でなく世界の不動産に連動したREIT(不動産インデックス・ファンド)などが候補として挙げられますが、わざわざREITを組み込む必要性のある人は少ないと思います。

7. 債券市場に注目

債券とは、「国や地方公共自治体、大学、企業などにお金を貸出(投資)する金融商品」です。債券の平均利回りは株式投資より低い傾向にありますが、国や大学など安定的な組織に投資するため、元本割れするリスクはほとんどありません。各人のライフステージによって財産の一部を低リスクの債券で運用することは十分検討に値すると思います。

8. 金・ダイヤ・書画骨董・コレクターアイテム

筆者は「投機(ギャンブル)や趣味として金・ダイヤ・書画骨董・コレクターアイテムに投資するのは構わないが、資産形成のためにこれらへ投資すべきではない」と主張しています。理由は、「売買手数料が高いこと」、「現物を保有するのに保険をかけなければならない場合があること」等が挙げられています。よほど好きでもない限り、手を出さない方がよさそうです。

9. 投資にかかるコストに目を配る

株式投資には手数料がかかります。例えば、インデックス・ファンドへの投資は管理手数料として「信託報酬」が発生します。せっかく利益が出たのに、手数料でその利益の大部分を持っていかれたら本末転倒ですよね。信託報酬などの手数料は非常に重要な項目なので、いくつかの投資先候補を選定したら手数料を必ず比較検討するようにしましょう。

10. 分散投資が大原則

分散投資には、大きく分けて「銘柄の分散」、「地域の分散」、「資産の分散」などがあります。ある一つの企業、ある一つの国、ある一つの金融商品に財産の大部分が偏らないよう、バランスよく振り分けてリスクを低減するようにしましょう。最も簡単に分散投資を実現するとしたら、資産の一部を全世界株式インデックス・ファンドで運用することでしょうか。どんな投資をするにしても、分散投資を肝に銘じておかなければなりません。

さいごに

本記事では『ウォール街のランダムウォーカー』について紹介しました。

本書で示されていた「財産管理の10カ条」はすべての人が参考にできる資産形成の原則であると感じます。

投資をする前にまずは「元手を蓄えよ」と主張している点も、資産形成の名著『私の財産告白』と通じるものがあります。

株式投資をされている方、興味ある方はぜひ一読されることをオススメします。

また当ブログでは、「投資というものが実際どんなものなのか」を知ってもらうために、私の実際の資産運用実績も公開しています。参考になれば幸いです。

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